Essay

穴蝦蛄(あなじゃこ)

お寿司に蝦蛄(しゃこ)は欠かせませんよね。甘いタレと蝦蛄の旨みが重なって何とも言えない美味しさです。 我が舞根湾にも蝦蛄がいます。と言ってもお寿司のネタになる蝦蛄ではなく、専ら魚釣りの餌となる「穴蝦蛄」(あなじゃこ)です。これで狙う魚は鱸(…

芭蕉布(ばしょうふ)の里

カキじいさんの部屋の窓から、背丈の三倍はありそうな楕円形の緑の葉が風に揺れているのが見えます。「芭蕉」の葉です。今年は暑いので育ちがいいようです。 芭蕉と言ったら沖縄とか奄美大島とかに生える南国の植物ですよね。でも、これが生えているのはカキ…

あずさ丸

カキじいさんの養殖場には何隻かの船があります。仕事に使うのはもちろんエンジンの付いた動力船ですが、そのほかにエンジンの無い昔ながらの「櫓」(ろ)で漕ぐ木造の和船が三隻あります。一、二、三号あずさ丸です。 あずさ、ってどこかで聞いたことがありま…

シジミは森を食べている

全国紙2、東北ブロック紙1、地方紙1、水産業界紙2、そして一日遅れで到着する夕刊1を購読しています。 その中で、カキじいさんのスクラップブックに最も切り抜きが多いのが、日本経済新聞「夕刊」です。数年前、「プロムナード」というエッセイ欄に半年…

海なし県の先生のため息

海なし県、岐阜県岐阜市の中学校の先生がカキじいさんに会いに来られました。 半年も前から約束していたのです。社会の先生でこの十一月に公開研究授業があり、「森は海の恋人」運動をテーマにしたい、というのです。県内外から五百人も集まる公開授業で、教…

どちらの組の、、、

昨夕(十六日)、舞根(もうね)地区最大の夏のイベント、盆踊り大会が開催されました。(右写真は我が家の“お祭りの練習”) 朝八時から自治会実行委員総出で準備です。広場の中央に長い棒を立て、赤白の提灯を八方に立てます。柱の先には大漁旗が翻ります。 こん…

熱っつい雨

早朝からミーンミンミン、ジッージッーというセミの大合唱が続いています。この何年間か、雨の多い夏が続き、三陸はセミの声が静かでした。これで冬が寒ければ、実にメリハリの効いた、いい塩梅の自然になることでしょう。さて、孫たちの「どろぼうかつか」…

あいびーえむってなーに?

東京から日本IBMエグゼクティブ・プログラム担当という方が二人やって来ました。 カキばあさんは「あいびーえむ」って携帯電話だったっけ?車屋さんだったっけ?などと言っています。 日本IBMは社会貢献活動の一環としていくつかの「有識者会議の場」…

テレビ局で焼き魚

仙台のテレビ局から「ボス魂」というトーク番組に出てくださいと言われていました。 宮城県、あるいは東北を代表する企業の社長さんや組織、団体の代表を親しみを込めて「ボス」と呼び、人生観や仕事への思いを語ってもらうトーク番組だそうです。 牡蠣の森…

どろぼうかつか

我が家に上がる坂の上の土手に山百合が満開です。早朝、何とも言えない香りがあふれます。毎年増えてきて、今では二十株近くになりました。毎年、七月二十日頃から咲きはじめますが、今年は夏が遅く低温が続きましたので奇形の花も見られます。あのまま低温…

賢治と医学

七月末、カキじいさんは第二十九回歯科医学教育学会学術大会で特別講演のため盛岡に居りました。どうしてそんなところへカキじいさんが、、、、とお思いでしょうか。いろいろ歴史があるのです。 グスコーブドリの伝記と出会った五十年前、家のすぐ近くに東北…

奥の細道「オイスターロード」説

猛暑にはウナギが定番ですが、実は「牡蠣」こそが本命であることをご存知でしょうか。 六年前、前出(2010/7/7 「井上ひさしさんの思い出」)の日経新聞編集委員 土田氏から、平成の芭蕉となって奥の細道全ルートを百四十二日かけて忠実に歩く、という連絡が…

「下ノ海ニ居リマス」

一昨年、カキじいさんは西オーストラリアの世界遺産、シャーク湾を訪れていました。 「鉄が地球温暖化を防ぐ」(文藝春秋)という本を書くため、どうしてもこの目で確かめたいところがあったのです。 温暖化の問題を考察するには、地球の歴史を遡って考える…

「グスコーブドリの伝記」

カキじいさんの好きな宮沢賢治作品は「グスコーブドリの伝記」です。 もう五十年も昔、高校生のころ読んで深い印象を刻み込まれました。 粗筋です。冷害に苦しむ農民を救うため、カルボナード火山島を爆発させることになりました。でも、そのためには誰か島…

森は海の、、、、、

「森は海の恋人」と捩った名言(迷言?)と時々出会うことがあります。 まず、「森は海の“変人”」。石坂洋二郎の小説「青い山脈」の“変しい変しい新子さま”からの応用かと青春時代を思い出しニヤリとしましたが、そこは小学生からの手紙、凡ミスでした。今の…

盛岡 下橋中学校

夏を迎えるとカキじいさんは本業以外のことで忙しくなります。体験学習のシーズンだからです。 海をきれいにするには、その海に注ぐ川をきれいにしなければなりません。でも川の流域には人間の生活が横たわっています。川の流域に暮らす人々の心に木を植える…

七夕の願い

七月七日、七夕の佳き日、幼稚園年長組の孫の祖父母参観日に招かれました。 内孫は四人で上は女の子、下三人は男の子です。愛称「かんちゃん」は上から三番目です。上からも下からも攻められていますから家の中では強く、時々ママに暗い(!?)部屋に閉じ込…

カキじいさんとしげぼう

平成16年、花巻市の宮沢賢治研究会から連絡がありました。「森は海の恋人運動」を続けていることに対して、宮沢賢治イーハトーブ賞が決まりました。授賞式に出席していただけますか?」というのです。 えっ、、、宮沢賢治とどんなつながりがあるのだろう?と…

井上ひさしさんの思い出

去る4月9日、作家 井上ひさしさんが亡くなられました。残念この上ありません。晩年、お米を通して森、水、川、海と続く環境問題にも関心を寄せられ、お声を掛けて下さいました。山形県川西町遅筆堂文庫でのシンポジウムにも二回呼んで下さいました。井上さ…

カキじいさんのつぶやき(1)

三陸リアス式海岸の気仙沼湾で牡蠣の養殖業に従事し、足かけ45年になります。兵隊から帰ってきた父が昭和22年から始めた仕事で、私が二代目、今三代目の息子たちが後を継いでいます。四代目を継ぐべき孫も生まれましたので、孫が継げば小さな家業も百年…

カキじいさんのつぶやき(2)

水山養殖場にはさまざまな人たちがやって来ます。 今日はアメリカの小中高の先生方が16人、フルブライト・ジャパン(日米教育委員会)から通訳他4人、計20人です。気仙沼は環境教育の先進地(ユネスコ・スクールによるESD実践地域)ということで時々…