森は海の、、、、、

mizuyama-oyster-farm2010-07-22

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「森は海の恋人」と捩った名言(迷言?)と時々出会うことがあります。



まず、「森は海の“変人”」。石坂洋二郎の小説「青い山脈」の“変しい変しい新子さま”からの応用かと青春時代を思い出しニヤリとしましたが、そこは小学生からの手紙、凡ミスでした。今の若者は「青い山脈」を読んでいるのでしょうか。


“ただならぬ 仲だったのね 森と海”


地元紙の川柳欄で見つけた傑作です。

森林の腐葉土の中でできるフルボサンという有機酸が、イオン化した鉄と結びつきフルボサン鉄になります。このような形を“キレート化”と言いますが、こうなれば酸素と出会っても酸化されないので、植物プランクトンや海藻が利用できる形で鉄が海まで届くのです。元北海道大学 松永勝彦先生の研究で判明した自然のメカニズムです。

遠く離れている森と海は、文字通り「ただならぬ仲」だったのです。


「森は海の恋人 川は本妻」


かなり前のことです。最後の清流、四万十川保全に携わっている高知県中村市の職員Oさんがわが家にお見えになった時、何か一筆をと色紙を差し出した折に書いてくれた名言です。

その後、土佐湾に棲むニタリクジラの餌が四万十川が運ぶ養分で育っていることが、広島大学の永沼毅先生の研究で判明しました。

落葉、草、木の枝など植物質物質はヤブレツボカビという微生物によって分解されます。硬いセルロースを食べてしまうのです。

このヤブレツボカビが生まれたばかりのイワシの餌になるのです。魚の赤ちゃんの選別基準は「旨い」「不味い」ではなく口に入るかどうか、という「大きさ」なのです。

しかも、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸(血液サラサラの成分ですよね)がヤブレカビツボにはとても豊富に含まれているそうです。

河口の海はフルボサン鉄由来の植物プランクトンから連なるものと、植物を直接分解するヤブレツボカビ系統の二つの食物連鎖があるのですね。

ニタリクジラが回遊せずに土佐湾で繁殖しているのは、四万十川の恵みがあるからなのです。


川は本妻、、、、、意味深ですね。


最も新しいのは、「森は海の交尾と運動」。


「恋人」を「交尾」としているのは生物学的には理解できないことないですね。いかにも直情的です(笑)。

パソコンの変換ミスでしょうが、校正人の人格を問われかねません。

カキじいさんはパソコンを使わず(使えず)、今でも原稿は鉛筆書きなので、机の下は消しゴムのカスだらけ。いつもカキばあさんに叱られています。

でも、これだと絶対に「森は海の交尾と運動」なんて書かずにすみますから、変えるつもりは毛頭ありません。


畠山重篤


今日も静かに舞根湾を見つめるカキじいさんの仲間たち