シジミは森を食べている
全国紙2、東北ブロック紙1、地方紙1、水産業界紙2、そして一日遅れで到着する夕刊1を購読しています。
その中で、カキじいさんのスクラップブックに最も切り抜きが多いのが、日本経済新聞「夕刊」です。
数年前、「プロムナード」というエッセイ欄に半年間掲載したご縁もあるのですが、とにかくカキじいさんの体質に合った記事が多いのです。
今朝もどんどん切り抜き抜かれて、新聞はボロボロです。その中で「干潟でなぜ水がキレイに?」という記事にはナルホドと勉強させられました。
京都大学農学研究科の笠井亮秀准教授を中心とする研究チームが、ヤマトシジミがセルロースを分解する酵素を分泌していることを発見したというのです。
つまり、川が運ぶ落葉や草木の破片などの植物由来の有機物を食べているのですね。
セルロースは硬い多糖類から出来ていて、これを分解できる生物は少ないのです。
森の中では、シロアリが木を食べることは知られていますが、河口に広がる干潟ではどうなっているか、、、、、。
干潟には牡蠣もたくさん生息しています。二枚貝の餌は植物プランクトンであることは小学生も知るようになりましたが、それだけではないのです。
昔、東北大学のカキ博士、今井丈夫先生から、カキは植物質の破片も食べているようだと聞いていましたので、カキより上流に棲むシジミが食べていることはうなづけます。
京大の研究では、シジミより海側に棲むあさりはセルロースの分解力は弱く、プランクトンを多く食べているそうです。
また、干潟の土には一平方メートルあたり数十万匹のメイオベントス(小型低棲生物)が生息していますが、彼らも多くがセルロース分解酵素を持っていることも突き止めました。
森の植物質を餌とするメイオベントスをひと回り大きなゴカイの仲間が食べ、それらをドロちゃん(「どろぼうかつか」)やシマちゃん(「しまかつか」)、エビちゃん、カニちゃんが食べ、さらに、それを鳥が食べるという食物連鎖が続き、それによって干潟はキレイになってゆくのです。
じつはカキじいさんがかかわっている京大フィールド科学教育研究センター長、白山義久教授はメイオベントス研究の権威です。来週は、白山先生が引率して、恒例の京大ポケットセミナーの学生たちが舞根湾を訪れます。
四人の孫たちにメイオベントスの講義を受けさせることにしましょう。さあ、忙しくなります。