七夕の願い

mizuyama-oyster-farm2010-07-09

にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ



七月七日、七夕の佳き日、幼稚園年長組の孫の祖父母参観日に招かれました。


内孫は四人で上は女の子、下三人は男の子です。

愛称「かんちゃん」は上から三番目です。上からも下からも攻められていますから家の中では強く、時々ママに暗い(!?)部屋に閉じ込められたりしています。

ところが幼稚園ではネコをかぶったようにおとなしく、参観日でも目立たなかったそうです。
年長組になった途端、がぜん本領を発揮しだしたようです。


幼稚園最後の祖父母参観日ですから出席してください!とママから言われ、カキじいさんとバアさんは連れ立って出席しました。


かわいい年少、年中組の演技を楽しみ、いよいよ年長組の出番です。

去年は突っ立ったまま何もしなかったとの報告に、カキじいさんもハラハラしていましたが、ハキハキ演技したので一安心。ほっと胸を撫で下ろします。


成長を目の当たりにしたのは、短冊に書いた願い事の紹介を聞いた時でした。


サッカー、野球の選手になりたい、仮面ライダーになりたい、との発表に続いて、「地震津波が来ないように、、、」と我がかんちゃんが、、、。


思わずバアさんと涙ぐんでしまいました。


実は当地はこの三月にチリからの津波を受け、大きな被害を受けたのです。

深刻に話をしている大人達の会話をちゃんと受け止めていて、七夕の願いとして短冊に書いていたのですね。



チリからの津波はカキじいさんは二度目です。五十年前、気仙沼水産高校二年の時でした。

あの時に比べれば今回は軽いものです。でも漁場が沖合に張り出していますので、その部分に被害が集中しました。

今では修復作業は何とか終了しました、ご安心下さい。

カキじいさんの経験則では、津波の後は貝類の成長が良い。やはり今回もそうです。牡蠣(かき)も帆立もグングン成長して美味しくなっています。


本当かどうか。是非お試しを。


文藝春秋五月号巻頭随筆に、かんちゃんの願いと重なる「津波はもう結構」と題する拙文が掲載されました。


御目通しいただければ嬉しく思います。


畠山重篤


>>そして、この翌年、平成23年3月11日 東日本大震災による巨大津波。



津波翌日の気仙沼湾(寄り集り、復旧を待つ養殖筏)