東日本大震災復興祈念チャリティーコンサートのご案内
東日本大震災復興祈念チャリティーコンサートのご案内です。
パンフレットPDF:img-327170034-0001.pdf
日本舞踊 (尾上墨雪、尾上菊之丞)
〜木造船は海に浮かぶ森であった〜
ヴァイオリン独奏 (天満敦子)
〜片時も忘れず、思いを寄せていこう〜
和楽器オーケストラ (AUNJクラシック・オーケストラ)
〜故郷の音と書いて「響」〜
司会:藤村志保
各演奏内容、曲目は添付のパンフレットをご参照ください。
幕間に三陸の森里海の幸、協賛会社からの食品でおもてなしがございます。
日時 2013年4月11日
場所 紀尾井小ホール(東京)
チケット料金 全席指定10,000円
(チケット料金には寄付金を含みます。利益は含まれておりません)
主催:NPO法人ものづくり生命文明機構
Tel 080-5460-1698 info@womb-to-womb.jp
チケットのお求め:
紀尾井小ホールチケットセンター Tel 03-3237-0061(10:00〜18:00、日・祝休)
第一回「おすばで 舞根キッチン」メニュー決定!(第38回復興サポーターズ活動)
第38回復興サポーターズ活動から開催を予定している「おすばで 舞根キッチン」!
「おすばで」とはこの地方の方言で「酒の肴」の意で、海辺の仮設工場を借りた料理教室を水山養殖場 復興サポーターズ活動に組み込んで、毎月もしくは隔月で開催します。
先生は海の料理が大好きな、舞根のおばちゃん達。
舞根や唐桑、気仙沼地方の地元でしか出回らない旬の味、幸、珍味を、この浜のレシピで一緒にお料理しながらご紹介してゆきます!
第一回目の今回(第38回復興サポーターズ活動)のメニューはこちら!
「サラガイ(アカザラガイ)のご飯」
「ワカメの酢の物」
「ばっけ(フキノトウ)味噌」(天ぷらの場合もあり)
「牡蠣のお吸い物」
これは間違いなくうんまいよぉ!「サラガイ(アカザラガイ)のご飯」!
小ぶりなホタテの様な貝ですが、ホタテよりも味が濃く、地元の浜ではホタテよりも人気のある食材です。気仙沼地方でも最近は出回らなくなった浜の味です。
そして、今が刈り入れ時の旬、「ワカメの酢の物」!
気仙沼、唐桑のワカメはツルツルとした舌触りで柔らかいのが特徴で、全国でも高品質ワカメで有名です。このあたりではワカメの茎、メカブをもらう(買わない)と春が来たなあ、、、という気持ちになります。
山の幸は、春の香りの「ばっけ(フキノトウ)味噌」!
まだ出たての柔らかい芽を味噌であえて、そのほろ苦さに春を感じます。時間次第で、天ぷらもやっぺがなあ!
そして汁物は、やっぱり旬の「牡蠣のお吸い物」!
身がビチッと入った今の牡蠣。雪代水が川から気仙沼湾にそそぐこの季節、海の中も春(スプリングブルーム)が訪れています。牡蠣から染み出る海の香りだけで味は十分。うんまいよぉ!
さあて、海辺のキッチンはどうなることやら。
おばちゃん達の腕がなる!
乞うご期待!
(文・写真 畠山耕)
舞根湾 56年間の地形変化と人の営み
私達の故郷、舞根湾の56年間の変化。
五十年前は海だったところを埋め立てて人が住み、震災によって地盤が沈んでまた海に。
五十年前はカキ養殖イカダは少なく、徐々に増え、消えて、また新たに。
たった50年ほどの時間の経過の中に、地形と人間の生活の変化を見ることができます。人間は大地と海に場所を借りて生きている。この感覚は忘れてはならないと思います。
自然への「畏敬、畏怖」。「恐れる」だけとは違う「この感覚」を、是非、自然科学を学ぶ学生の皆さんに伝えたいのです。
文・畠山耕
「森は海の恋人」を生活の場へ 「特定非営利活動法人ピースネイチャーラボ」のご紹介
震災前、私達の舞根湾には52軒の家族の笑顔と笑い声が響いていました。今は、山裾に3軒、高台に3軒。湾沿いの海辺からは生活のすべてが消え去ってしまいました。
両腕で抱きかかえるような形をした私たちの舞根湾の懐は、いわば「空っぽ」になってしまいました。
昨年末、瓦礫がようやく片付き、がらんとしたこの湾沿いの一角、以前は子供たちが集い遊ぶ子供広場のあった場所に、この一月、小さな小さな「工房」ができました。
運営しているのは「特定非営利活動法人ピースネイチャーラボ」に集う全国の若者たち数名。「空っぽ」のこの場所から何かを生み出そうと集まった「有志」です。みんな、暖かい気持ちと体力が持ち味ですが、メンバーにプロはいません。
彼らは考えます。
確かに、この「空っぽ」の場所に今、生活の匂いはない。でもそれは「何もない」ということじゃない。穏やかで美しい森、川、海。震災後、新たに生まれた自然環境。豊かな食材、素材、そして、この湾にまた戻って暮らそうとしている人々の生活の歴史と知恵。
散らばるパズルのピースを一つ一つ丁寧に集めて、「新しい絵」をくみ上げようと試行錯誤を始めた彼らを、是非、応援してください。この空っぽの湾沿いに生まれた「小さな小さな芽」を「大きな大きな森」へと育てていただきたいのです。
時間はかかるでしょう。
でも、その大きく広がった「森」には、きっと本当の意味での豊かな生活のモデル、ヒントがたくさん、たくさん生まれるでしょう。
商品の売り上げの10%は、この活動のバックグラウンドとなる自然環境、森里海の保全活動へと「循環」させています。「森は海の恋人」運動を生活の場へと活かす実践の取り組みでもあります。
皆様の温かく力強い眼差しが、この取り組みを育ててゆきます。
息の長いご声援、宜しくお願い致します。
取り扱い商品のご案内:「森のクッティー」
お取扱い店リスト http://morisatoumi.jp/shop/
文・畠山耕
カキじいさんのブルターニュ紀行 【番外編 トリニテの「いいね!」】
<<< ラ・トリニテ=シュル=メールの「いいね!」 >>>
【いいね!その1】
「カキ養殖場のブラック・ラブラドールレトリバー、カオス君」
10歳の老犬カオス君は、このカキ養殖場のマスコットドッグ。養殖場の中でのんびり昼寝から目が覚めて、私達に愛想を振りまいてくれました。カッパのおばちゃんに聞くと、やっぱりラブラドール、海で泳ぐのが大好きだとか。家の犬の匂いがまだ残っていたのか、すっかり同類?!と思われて離れようとしてくれません(^^;)。
【いいね!その2】
「カキ養殖場のスレート壁」
自宅兼、養殖場の工場とはいえ、スレートと石板を綺麗に組んで、屋根ではなく壁に使っているところにとても「いいね!」。一枚一枚をピンフックで抑える張り方で、地震の多い日本では現実的ではないと思いますが、この雰囲気、舞根の海辺にあったら素敵だなあ、、、と勝手に完成予想図を想像してしまいました。昔はスレート葺きの屋根の工場が舞根にもあったなあ。
【いいね!その3】
「海辺のレストランに飾ってあった、ラングスティーヌのテーブル・オブジェ」
カキ養殖場から湾に掛かる橋を渡ってほど近い海辺のレストラン。小さな小屋風の可愛らしいお店です。入り口近くのテーブルをふと見ると、銅線でエビを模ったテーブル・オブジェ。おそらく名物のラングスティーヌ(手長エビ)だね。よく見るとテーブルのあちこちに「いいね!」と言いたくなるような海に関係した素敵なオブジェがさりげなく飾ってあります。お昼前でお客さんがまだ入っていないので、写真を撮らせていただきました。この雰囲気、いただきました(笑)。必ず舞根湾にも。
文・写真 畠山耕
『カキじいさんのブルターニュ紀行 (カキを愛するひとびと〜ラ・トリニテ=シュル=メール編〜)』
カルナックを後にして、車で西へ走ること20分ほど。北へ延びる細長い湾奥に、次に見せていただくカキの養殖場がありました。
とても穏やかで、その湾の形から私達にはどこか懐かしい感じのする風景です。
ラ・トリニテ=シュル=メール(La Trinite-sur-Mer)。
カキの養殖に使う平積みの台船と一緒に、湾にはあちらこちらにヨットが浮かび、一角には大きなヨットハーバーが。パトリック・ルイ・ヴィトンさんのヨットもここに係留しているとか。季節柄もありますが、漁船とヨットがきちんとすみ分けられて風景にとても馴染む、とてもいい雰囲気です。
カルナック同様、ここも夏には海辺でヴァカンスを楽しむたくさんの人々が集う、漁業と観光が隣同士でうまく寄り添う町の様です。目の前の湾でとれた海産物を、海辺の素敵なお店ですぐに食べられるシーフード・レストランや小さなホテル、ペンションなどが海岸から丘の上にかけて立ち並び、対岸ではカキの養殖場や網を引く船がとても自然に佇んでいます。
ここにも、目に見えない問題、課題はたくさんあるのでしょうが、漁船と遊船、漁業と観光が上手く融合しているとは言えない日本の漁村から見ると、何だかとても羨ましく感じました。
案内されたカキの養殖場に着くと、岸のすぐに下にはカキが入った籠がずらりと並べられ、着岸しているカキ養殖の台船にもカキ籠が満載。どうやら水揚げの真っ最中の様です。
そんな光景を見て、居ても立っても居られない様子のカキじいさん。何やら足早に海辺に近づくと静かな湾の水を手ですくってペロッと一なめ!?
「やっぱり甘いねえ、ここの水は!」
どうやら、早くこの海の味を確かめたかったようです。ロワール川河口のキブロン湾に面し、湾奥からも幾筋もの川が流れ込むこの場所の水は、海の味というよりも「川の味」。河口の汽水に育つカキは、そこに流れ込む川の味に左右されるとも言います。さて、ここのカキの味は?。
台船で水揚げされたカキは大きなフロントローダー(リフトのようなクレーンの様な)で工場へ。中では一列に並んだ長いコンベヤや「ふるい」式の選別機などが並べられ、とても効率よく選別作業が進められています。
コンベヤに並んで手選別をしているのはここでもおばちゃん達。舞根もフランスもカキの前線は女性の仕事場の様です。
手際よく大きさ別にカキを籠に分け入れながら、カキ同士をコツンッ、コツンッ!それを見ていたカキじいさんも、みんなと同じ身振りでコツンッ、コツンッ!
「やってるねえ!かぎ叩ぐのはおんなじだっちゃ!」
カキの殻が欠けていたり、身が入っていないものは、殻を叩くとポコポコと軽い音がします。
見分ける方法は日本もフランスも同じ。叩いているのもおばちゃん達。風景は一緒です。程よく大きなものは出荷用、小さなものを選り分けて籠に入れ、また海や干潟に委ねて育てます。
「あっちにブロンを水揚げしてあります。召し上がりますか?」と養殖場のご主人。
これに満面の笑みで是非!と飛びついたのは、カキばあさんとパトリックさん。カキじいさんもやれやれ(笑)、の様子。
ブロンとはヨーロッパヒラガキのこと。フランスガキとも呼ばれ、今ではフランスでもその数が激減しています。
三十年ほど前にカキじいさんが舞根湾のカキ研究所と一緒に採苗に成功して、ほんの少量ではありましたが東京のレストランへ出荷していたことがあります。他にシドニーロック・オイスターやオリンピアガキなど数種類の世界のカキの養殖にも成功し、一部の東京のレストランへ出荷していました。
しかし、当時の日本にはオイスターバーなど未だほとんどなく、その存在も一般には知られていませんでした。
その後、ヨーロッパ全体を覆うカキの病気の蔓延で、特にブロンが希少になり、現在ではご当地でも高級品になっています。
さっそくナイフで殻を剥きペロリッ!とパトリックさん。
カキばあさんも三十年前を思い出して?!一般的なマガキと開け方が違うブロンも、手慣れた手つきで蝶番を開けては、「はいっ!あがらいっ、あがらいっ(召し上がれ)!」。他人の家のものですが(笑)、まるで舞根でカキを振る舞っているようです。
マガキと違って独特の渋みが強いブロン(フランスガキ)には、ワインやシャンパンが本当に良く合います。
カキとワインをセットで味わう文化をここでも実感します。
震災後に舞根湾で水揚げしたマガキの中に、いくつかブロンが紛れ込んでいるのを舞根のおばちゃんだぢが見つけてくれているので、もしかするとまた採苗が可能になるかもしれない期待も相まったようです。
この味をしっかりと舌に残して帰ろうと、次々殻を剥くカキばあさんに、ご主人もちょっとびっくり!?。
この養殖場では他にもホタテ(コキーユ・サンジャック)や貝類を扱っておられるとのこと。
別棟の蓄養水槽には水門が付けられていて、潮が引くと水槽になり、潮が満ちると海になる構造。環境条件を上手に利用した、天然水槽と言ったところでしょうか。
震災で地盤が一メートル沈下し、海辺の水槽が大きく沈んで復旧に時間が掛かったカキじいさん。養殖場の復旧のヒントを得たのでしょうか。
美味しいカキと工場で働くおばちゃんたちの笑い声、船が行き交う湾の風景と海仕事の男衆。
スレート葺きの壁、海が大好きなブラック・ラブラドール。新鮮で豊かな海の幸とたくさんの気持ちの良い人々。
昼時、海辺に建つ小さなレストランでラングスティーヌ(手長エビ)を口いっぱいに頬張り、ワインを傾けながら、何か懐かしい昔話でも楽しむかのように、カキじいさんたち、カキを愛する人々の楽しいおしゃべりはいつまでも続くのでした。
(おしまい)
※次回は、「カキじいさんとブロワの森(Saint-Sulpice-de-Pommeray サン=シュルピス=ド=ポムレ)編」です。
文・写真 畠山耕