『カキじいさんのブルターニュ紀行  (カンカルの子供達編)』

2012年10月2日


カキやムール貝の養殖が盛んで、近隣にはモン・サン・ミシェルなどの世界遺産を擁するブルターニュ北部のカンカレ、サンマロ周辺の街を訪れました。

津波により被災し、現在も水産に関わる学業に苦難を抱える向洋高校(旧気仙沼水産高校)。カキじいさんはその卒業生でもあります。

震災当年、同じカキなどの水産業が盛んなここブルターニュ北部地方の子供達、カンカレやサンマロの街の学校を中心に、地元伝統のガレット(蕎麦粉のクレープ)や特産品を売って、子供たちが自主的に集めた支援金を、カキじいさんが向洋高校に橋渡ししたのがきっかけで始まった縁です。

地元でガレットのお店を経営されているベルトランご夫妻(奥様、池田ゆう子さん)のご協力で、今回のカキじいさんのお礼訪問、そしてフランス語に翻訳された「カキじいさんとしげぼう」(文・畠山重篤、絵・徳田英雄、訳・プズー紫麻、カキの森書房)の子供たちへのプレゼントが実現しました。

ご夫妻は昨年夏、私たちの気仙沼市舞根の海辺で、即席ガレットカフェを開いて、仮設にいる舞根の子供達やおんちゃん、おばちゃん達に本格的なブルターニュの味を届けてくれました。

http://d.hatena.ne.jp/mizuyama-oyster-farm/20110803

   
 

半世紀前にフランスでカキが病気により壊滅の被害を受けた際、宮城県の種カキがフランスに渡りその危機を乗り越えた歴史、そして今回の津波による被害に寄せられたフランスからの沢山の思いに心からの感謝を込めて、渡仏前日に出来上がったばかりの絵本を校長先生に手渡しました。

子供たちからの握手と質問の嵐にカキじいさんも大忙し。

カキじいさんも子供達、先生たちも飛び切りの笑顔。世代と国を越えた心のつながりは、森と川と海のつながりのように、いつまでも引き継がれてゆくことでしょう。

環境教育活動や文化交流など、今後の様々なつながりがとても楽しみです。

 

文・写真 畠山耕