あれから四十年、、、
カキじいさんの出番も多くなってきました。
東北公益文科大学(酒田市)、岩手大学、石巻専修大学、京都大学、国学院大学、広島大学などなど、、、と、続きます。
これでもカキじいさんの講義は人気があるそうで、どこの教室も満席になるんですよ。
カキじいさんは気仙沼水産高校卒(現向洋高校)で、大学教育を受けていません。大学の講義ってどんなものなのか?とK大学をこっそり見学することにしました。
その時のお話し。
教授は学生さんが聞こうが聞くまいが、構わずどんどん一方的に進めてゆきます。なんと七割の学生さんは寝ているではありませんか。大学の教室は寝室か?と思ってしまうほどでした。
そこで、自分は眠くならない講義をしようと心に決めました。様々な話題を次々に繰り出して、一見バラバラのようですが、実は全部繋がっている、ということに気付かせる作戦です。
どの大学でも講義の内容についてのレポートの提出があります。
作戦の甲斐あって、どの大学に行っても九割の学生諸君が「良かった」と言ってくれているようです。
もっとも、まるで漫談のよう、、、というニュアンスの感想もありますが。
教育学部 I君の場合。
「今までとは“毛色が違い”、とても親しみやすい語り口なのが良かった。芭蕉や蘇鉄(ソテツ)、大島紬(つむぎ)、シャーク湾などの話は特に知的な好奇心を満たしてくれた。
さりげなく(文系の僕にとっては)難しい話も出てきたが、親しみの持てる口調と丁寧な解説のお蔭で、重要なことはあらかた理解できたように思う。
講義を受けていてこの方はすごく強い知的好奇心と向上心、行動力を併せ持っているのだな、とも感じた。
鉄分などの大切さなど改めて認識したのはもちろんだが、家と大学を往復するだけの生活をしている今の自分に対して、もっと行動的、積極的に生きてゆけないものだろうか、という何とも言い難い後悔にも似た感情を抱いた。
以後、牡蠣を食べる度にこの方の事を思い出すような気がする。」
面接試験を受けた気分ですね(笑)。
医学部Kさんの場合。
「今回の授業は今までで一番“おもしろかった”です。牡蠣や海苔(のり)の話がとても身近で分かりやすかったです。
川をきれいにすることがとても大切で、でもそれを行うことでいろんなことにプラス面が表れて感動です。
食生活の話をくくり付けて話していただいたので、環境保全への意欲もわきました。
本当に“おもしろかった”です。」
綾小路きみまろと勘違いをしたのでしょうか(笑)。
「牡蠣を作り続けて五十年!」が彼の決め台詞「あれから四十年!」に聞えたのかも知れません。