二学期は森の学習(1/2)

mizuyama-oyster-farm2010-10-04

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九月末、町内の小学校五年生の「ふるさと学習会」で、子供たちに話をして下さい、と頼まれました。


一学期には水山養殖場で海の学習をしたので、二学期は室根山から海を見ながら、森川海の関わりにつて学びたいというのです。


室根山は気仙沼地方では一番高い山で、標高約900メートルです。

昔は、船で航行する時、海から見える山の姿を観察して、位置を確かめました。「山測り」(やまばかり)と言います。室根山は漁師の目印として、とても大切な山なのです。


と同時に、そこは気仙沼湾に注ぐ大川源流の一つでもあります。「森は海の恋人 植樹祭」はこの山への植樹から始まりました。


バスで子供たちをそこまで案内し、まず気仙沼湾を見下ろす「見晴し広場」に立ちます。

少し曇っていましたので、光線の具合がよく、リアス式海岸の複雑な輪郭がはっきりわかります。


「リアス」の語源はスペイン語の「rio / リオ」(川)で、このギザギザの海岸はまず川が削った海底であること。
約一万五千年ほど前までは、地球は寒く、海は今の水深で百二十メートルほど退いていたこと。


「唐桑半島の突端の御崎(おさき)からずっと沖まで海は退いていたんだよ。」 遥か沖合を指さします。

  「エッーーー!」

「でも一万年ほど前から少しずつ地球は暖かくなって、縄文時代には今より気温が高く、川が削った谷底に海がゆっくりと浸入してきたんだ。『縄文海進』って言うんだよ、、、、、。」

  「ヘエッーーー、、、」

気仙沼湾の隣は志津川(しづがわ)湾、北は広田湾、大船渡湾、越喜来(おきらい)湾、吉浜湾、そして宮古湾まで続くんだよ。

もともと、川が削った谷だから、そこには必ず川が注いでいて上流には森がある。分かるだろう、 『リアス式』の意味が、、、、、。

リアス式海岸の本家本元はスペインの大西洋岸、ガリシア地方の海岸の地形なんだ。ヨーロッパでは、このガリシアの海でとれないものは無いっていうぐらい、豊かな海なんだよ。」

  「ヘェーーー!」

先生まで「なるほどー、、、」と頷きます。


「二十二才になったブナが背丈の何倍かに育っています。これがあと八十年して百歳になると、一本で葉っぱが三十万枚ついて、毎年落葉になるんだね。

葉っぱが腐ると、みんなが知ってる『腐葉土』になるね。その養分が地下に浸みて地下水となり、大川から気仙沼に届けられるんだ。


そうすると、何が増えるんだろう?」

  「植物プランクトン!」

  「うーーーーんと、、、、、キートセラス!」


「春に舞根の海で学んだことをちゃんと憶えていてくれたね、『森は海の恋人』の意味がよく分かりましたね!」



カキじいさんはとても満足です。<続く>

畠山重篤


海で水遊びも、あと少しだね(秋空、舞根湾)