カキじいさんのお正月

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新年、おめでとうございます。

天気予報では、年明けは三陸沿岸も大雪だというので、雪掻きの準備して覚悟していました。

孫たちは大きな雪だるまとかまくらを作ってもらえると、心待ちにしていたのです。

ところが、山陰地方を中心とする西日本に雪は片寄り、三陸地方は小春日和のような穏やかな正月でした。


さて、年末にここでご紹介した紘一君の書いたタラバガニの「カーニー」の絵が良かったのでしょう。思わぬ反響がありました。

「カーニーにお正月を迎えさせてあげて!」という声が周りに多かったのです(笑)。

そのおかげか、大晦日、カーニーは大きな鰤(ブリ)の切り身を与えられ、カキママの企みにも負けず、家族と共に無事お正月を迎えることができました。

カキパパの話ではこれから水温がもっと低くなるので、電気代もかからなくなるから、春まで飼うか、、、ということです。

いやあ、よかった、よかった。

もっとも、宇都宮のフランス料理店オーヴェルジュ、オトワレストランから取り寄せた洋風おせち料理をほとんど独り占めしたので、カーニーに食欲がわかなかったらしいのですが。



気仙沼のお雑煮についてもご紹介しましょう。

カキじいさん家のお雑煮の出汁は、皿貝(サラガイ、アカザラガイ)です。ホタテ貝を小さくしたような形ですが、ホタテに比べて味が濃いのです。

殻の割に貝柱が大きく、昔からこの地方では食べられていました。

皿貝貝塚という名前もあるほどで、縄文人も食べていた、とても美味しい貝です。

気仙沼鮨屋さんでは、ボイルしたサラガイの貝柱に甘いタレを塗り、握ってくれます。

旨味の濃いサラガイの味と、甘いタレがとてもマッチして、港町らしい独特の美味しさです。

サラガイの入ったお雑煮をすすると、新年を迎えたなあ、という気持ちになるのです。

(タラバガニの出汁なんて全く考えていないので、カーニーちゃん、安心しなさい。)

三陸名産、海鞘(ホヤ)を入れたお雑煮を食べている家もあります。

ちょっと甘くて、磯の香りが立ち、ホヤ好きの人には実にたまらない味です。


大雪警報は外れましたが、波浪警報は大当たり。

外海は大時化ですごい波です。でも気仙沼湾内は波ひとつなく、とても静かです。

親類の新年会には元遠洋漁船員が多く、「世界中の港に入ったが、気仙沼のようなところは、どごさもねーよ(何処にも無いよ)」と語っています。

カラオケ大会が始まり、カキじいさんは決まって森進一の「港町ブルース」です。



“港、港釜石、、、「気仙沼」〜〜〜”と、海の男たちの大合唱で、年が明けたのでした。

本年も宜しくお願い致します。

畠山重篤



いつもと同じ夜が明けます(舞根湾)

本年も宜しくお願い致します。