「カキセリ」

カキの美味しい食べ方は?と問われれば、迷うことなく「そのまま生でどうぞ!」と答えます。

でも、生ガキが苦手な方も多いですよね。そんな時にお奨めするのは、何と言っても「カキの味噌炊き」です。


剥きたてカキのむき身を軽く真水で洗い流し、薄手の鍋に入れて火にかけます。カキから水がたくさん出ますので、水は入れません。

ぐつぐつ煮えてきたら、味噌(当地では赤味噌)を少し入れてかき回します。そして仕上げにセリをドバッ!。カキが見えなくなるくらいに乗せます。

セリとカキとの愛称は抜群です。これに日本酒を一杯引っ掛けたなら、それはもうパラダイス。

“鴨がネギを背負ってくる”のことわざは有名ですよね。おいしいだけでなく肉もネギも同時に手に入ったという好都合なことです。

最近結婚した次男のお嫁さんは、奥州涌谷の産。この地は有名なセリの産地なのです。


先日、読売新聞書評委員会の皆さんが私たちの海を訪れた折、涌谷のセリでカキの味噌炊きをご馳走しました。

五月の潮風が香る浜辺での味噌炊きに「これは参ったな!美味い!美味いっ!」の声ばかり。


二人の相性も抜群の気配で、何よりよく稼ぐお嫁さん。カキじいさんも安心です。日本でもフランスでも、カキ屋のお嫁さんは働き者(笑)ですね。(前出:『カキじいさんのブルターニュ紀行 (カキを愛するひとびと〜カルナック〜編)』

でも、まさかネギ、いやセリまで背負って来てくれるとは、、、おっと、失礼、失礼(笑)。

二人とも、おめでとう!


畠山重篤



写真・畠山耕