「森・川・海 つながるいのち」

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一月末、カキじいさんの新しい本が出版されました。

「森・川・海 つながるいのち」(童心社)です。

『守ってのこそう!いのちつながる日本の自然』シリーズ全六冊の殿(しんがり)を受け持った本です。

小学校5、6年生からを対象にしているようですが、実際の本は写真集のような構成で、「森は海の恋人」運動の写真を撮り続けている宍戸清孝さんという仙台のカメラマンが撮った写真がふんだんに使われています。


推薦文を書いてくれたのは、北海道大学低温科学研究所准教授 白岩孝行先生です。

オホーツク海三陸沖の生物生産が、アムール川が運ぶフルボサン鉄であることを証明した『アムール・オホーツクプロジェクト』のチームリーダーです。

実は先生も「巨大魚附林(うおつきりん)  アムール川オホーツク海環境学」(昭和堂)という本を三月末に出版されます。

その推薦文をカキじいさんが書かせていただくことになりました。

そして、五月末には、続々と伝えたい内容が増えてしまって大分予定が遅れてしまいましたが、「鉄は魔法つかい」(畠山重篤文、スギヤマカナヨ絵、小学館)が出版される予定になっています。



恥ずかしながら、まずは白岩先生の推薦文をお読みください。

畠山重篤



童心社発行小冊子「母のひろば 561号」より

「汗をかき、味わってこそみえるつながりがある」 白岩孝行


畠山さんは革命家である。ぼくは常々そう思っていた。

カキを育てる漁師さんが山に木を植える。理由は山の森がカキを育む源だから・・・。

初めてこの話を聞いた人は、きっと頭のなかが「?」でいっぱいになったにちがいない。

なぜ海に生きるカキと山の森がつながるのかと。


革命家は確信をもっている。

理屈は後からついてくればいい。

「森は海の恋人」というステキな言葉を創りだし、多くの子供たちを道連れにして山に木を植える。

子供たちを海にいざない、カキやホタテを食べさせて、なぜおいしいのかを考えさせる。

世界中を飛びまわり、森と海のつながりを見出してゆく。


理屈が後から追いついた。

現場に生きる畠山さんにしてみれば、何をいまさらと思っていることだろう。

森とカキをつなぐ鍵は、森が生み出す「鉄」であった。

畠山さんが「森・川・海 つながるいのち」で描き出すカキと森の物語は、身のまわりの環境の背後に隠された驚くべき仕組みを見せてくれる。


インターネットでつながることも結構だが、汗をかいて山に登り、舌で味わって知るつながりを大切にしたい。

そして、私たちの住む日本には、こんな経験ができる自然がたくさんあることを本シリーズは教えてくれる。


人の心に木を植える革命家、畠山さんの世界へようこそ!


(しらいわ たかゆき/北海道大学低温科学研究所准教授)



森と、海と、、、(舞根湾)